チーフが池に‼
これはわたしが入社してまだ間もない頃の出来事です。
毎朝10時にお店は開店します。
開店と同時に自動ドアのスイッチをONにしてお客様のお出迎えをします。
でもその日は自動ドアのスイッチをONにしてもドアが開きませんでした。
わたしはすぐさまチーフのもとへ行き事態を説明しました。
チーフは21歳でまだ若くエネルギッシュな女の子です。
チーフ「主電源のトラブルだからわたしについてきて」
わたし「はい!」
わたしはチーフのあとをついていきました。
店の裏側に貯水池がありました。
わたしはまだ入社したばかりなので貯水池のことは知りませんでした。
チーフ「いまから放水して自動ドアに電気を流しますから」
そう言いながらチーフはレバーに手をかけました。
そしてレバーを必死に回し始めました。
その時です、チーフはバランスを崩して池に落ちてしまいました!
わたし「チーフ‼」
わたしは慌て驚きました
チーフ「助けて~」
チーフは必死でもがいています。
池の水はバスクリンのような緑色をしていました…バスクリンに抹茶の粉末が浮いているような…
その水が容赦なくチーフの口に入っていく…
わたし「チーフ‼
いま助けを呼んできますから!」
わたしは駆け出し始めた
すると
チーフ「わたし…
泳げ…ない…の…ブクブクブク…」
まずい‼
チーフが沈んでいく!
人を呼びに行ってたら間に合わない!
わたしは意を決して池に飛び込みました。
チーフのもとへ
チーフはわたしにしがみついてきた
チーフ「助けて!
助けて!
助けて~!」
チーフにしがみつかれてわたしは身動きがとれなくなってしまった…
チーフがわたしの頭を押さえつけた
口から水がいっぱい入って苦しくなってきた
意識が朦朧としてきた
ああ…
もうダメだ…
チーフと一緒に心中だ…
二人の体は池底に引きずり込まれていった…
そのときかすかにきこえた…
ワンワンワン
ああ…そらとジェルが吠えている…
その声はどんどん大きくなっていった
ワンワンワン‼
何かが顔を舐めていた
目を開けたらそこには、そらとジェルがいた。
わたし「夢か‼」
ママ~起きろよ~
会社に遅刻するぞ~